環境対応素材による包装材・緩衝材のプラスチック削減とSDGs・法規制対応
Date 2025.11.18
私たちは、エアレイド不織布をベースにしたサステナブル素材の開発チームです。
エアレイド不織布の特性を活かし、環境負荷の少ない素材を目指して、日々改良と検証を重ねています。
地球環境問題は世界的な課題となり、SDGsの推進や環境保護に向けた法規制の強化が進んでいます。
日本国内では2022年4月に『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』が施行されました。
さらに、EUでも包装材のリサイクル設計を求めるPPWR(包装・包装廃棄物規則)など、国際的な規制強化が進行しています。
企業には包装材や緩衝材のプラスチック削減が求められ、素材選定は社会的責任や持続可能性の向上に直結します。
この記事では、環境対応素材の定義や種類、製品開発における環境配慮の重要性、包装廃棄物の影響、国内外の法規制、そして包装材・緩衝材におけるプラスチック削減の取り組みについて解説します。
最新の制度や動向を踏まえ、企業の皆様が素材選定や開発を進める際の参考となる情報をお届けします。
出典:e-Gov法令検索『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』/環境省『プラスチック資源循環』/農林水産省『包装および包装廃棄物規制(PPWR)の概要』
▼この記事の構成
1.環境対応素材とは
2.製品開発における環境への配慮の重要性
3.包装材を取り巻く環境問題
3-1. 包装廃棄物のプラスチックによる環境への影響
3-2. EUにおける包装材への法規制
4.環境対応素材による包装材・緩衝材のプラスチック削減
5.まとめ
1. 環境対応素材とは
環境対応素材は、地球環境への負荷を低減することを目的とした素材の総称です。
企業の製品開発や包装材・緩衝材分野で注目されています。SDGsや法規制への対応にも直結する重要な要素です。
▼環境対応素材の例
- 紙
- バイオマスプラスチック
- 生分解性プラスチック など
主な環境対応素材には、紙、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックなどがあります。
紙は再生可能資源であり、リサイクル性に優れています。
バイオマスプラスチックは、生物由来の原料を用いたプラスチックです。
化石由来原料と比較して再生可能性が高く、原料となる植物の成長過程でCO2を吸収するため、カーボンニュートラル※にも寄与します。
※カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、全体の排出量を実質ゼロにする考え方です。
詳しくは、日本バイオマスプラスチック協会の情報もご参照ください。
生分解性プラスチックは、一定の環境下で分解されて自然に還る特性を持っています。
焼却処理に頼らず、環境負荷の低減に貢献できる素材です。
不法投棄された場合でも、分解が進む可能性がありますが、分解速度や条件は素材や環境によって異なります。
導入にあたっては、用途や処理方法に応じた検討が必要です。
このような素材の活用は、企業の社会的責任や持続可能な社会の実現に貢献します。
環境対応素材の選定は、今後の製品開発において不可欠な要素となっています。
2. 製品開発における環境への配慮の重要性
製品開発の現場では、企業の社会的責任として環境への配慮が求められています。
SDGsの採択以降、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが加速し、環境対応素材の活用は企業価値の向上にもつながります。
2015年9月の国連サミットでSDGsが採択されて以来、ESG投資が世界的に広がりました。
環境・社会・ガバナンスを重視する投資家やステークホルダーからの評価も高まっています。
製品開発において環境対応素材を選定することは、社会的な信頼獲得の重要な要素です。
製品本体だけでなく、包装材や緩衝材にも環境対応素材を導入することが求められています。
環境に配慮した素材の採用は、企業の持続可能性を高める施策です。
SDGsやESG投資への対応を意識した素材選定が、今後の製品開発のスタンダードとなります。
出典:環境省『持続可能な開発目標(SDGs)の推進』環境省『プラスチック資源循環』
3.包装材を取り巻く環境問題
包装材に使用されるプラスチックは、環境問題の大きな要因となっています。
環境対応素材の導入は、こうした課題への有効な対策です。
海外では包装材に関する法規制が強化されており、企業の対応が急務となっています。
3-1.包装廃棄物のプラスチックによる環境への影響
プラスチック包装廃棄物は、海洋汚染やマイクロプラスチック問題の主な原因として世界的に注目されています。
自然環境に流出したプラスチックは分解されにくく、長期間残留することで生態系への影響が懸念されます。
こうした課題に対して、環境対応素材の導入が進んでいます。
生分解性プラスチックなどは、一定の条件下で分解が進み、環境負荷の低減に寄与します。
ただし、分解速度や条件は素材や環境によって異なるため、導入時には用途や処理方法に応じた検討が必要です。
包装材の設計では、回収性やリサイクル適合性、単一素材化なども重要なポイントとなります。
プラスチック削減のためには、素材選定だけでなく、回収・再利用の仕組みづくりも欠かせません。
出典:環境省『プラスチック資源循環』
3-2.EUにおける包装材への法規制

EUでは、包装廃棄物の削減を目的とした法令「PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)」が制定されています。
この規則では、包装材のリサイクル性能が等級分けされ、リサイクル可能素材の重量比によってGrade AからCまで分類されます。
▼PPWRにおけるリサイクル性能等級
等級 | リサイクル可能設計(重量ベース) | |
Grade A | 95%以上 | |
Grade B | 80%以上 | |
Grade C | 70%以上 | |
農林水産省『PPWR(EU包装・包装廃棄物規則)解説書のご紹介』を基に作成
Grade C未満の包装材は2030年以降市場での販売が禁止され、2038年以降はGrade Cも規制対象となります。
PPWRの規制はEU向けに輸出する日本企業にも適用されるため、環境対応素材の導入が不可欠です。
包装材のリサイクル性能向上や環境負荷低減が、今後の事業展開において重要な課題となります。
出典:農林水産省『包装および包装廃棄物規制(PPWR)の概要』『PPWR(EU包装・包装廃棄物規則)解説書のご紹介』
4.環境対応素材による包装材・緩衝材のプラスチック削減
包装材や緩衝材分野では、プラスチック削減の取り組みが広がっています。
環境対応素材への切り替えや設計変更、工程の見直しなど、さまざまな工夫が進められています。
当社では、包装材・緩衝材用途に適した環境対応素材として、エアレイド不織布『ハイビオス』を開発しています。

▼ハイビオスの特徴
- バイオマス度が高い
- 土壌・海洋で生分解性を発揮
- 水解性があり、紙原料としてリサイクル可能
- 嵩高性を生かした緩衝機能
ハイビオスは、植物性の木材パルプを主原料としています。
土壌だけでなく海洋でも分解されるため、包装廃棄物による海洋汚染やマイクロプラスチック問題の回避に寄与します。
環境対応素材「ハイビオス」の詳細資料は、製品カタログからご確認いただけます。
5.まとめ
この記事では、環境対応素材について解説しました。
- 環境対応素材の概要
- 製品開発における環境への配慮の重要性
- 包装材を取り巻く環境問題
- 環境対応素材による包装材・緩衝材のプラスチック削減
環境対応素材は、地球環境への負荷を低減するために不可欠な存在です。
SDGsやESG投資への対応には、製品本体だけでなく、包装材や緩衝材にも環境対応素材を導入することが求められます。
海洋汚染やマイクロプラスチック問題の回避にも、環境対応素材の活用が重要です。
EUへの輸出を行う企業では、PPWRへの対応も必要となります。
当社のエアレイド不織布「ハイビオス」は、土壌や海洋で生分解性を発揮し、包装廃棄物による環境負荷の低減に貢献します。
また、当社工場の製造は、実質100%再生可能エネルギー化を達成しており、環境負荷の削減にも積極的に取り組んでいます。
環境対応素材の詳細は、製品カタログでご案内しています。
今後の製品開発や素材選定の参考として、ぜひご活用ください。