サステナブル素材の特徴と種類。環境に配慮した素材とその応用
Date 2025.07.18

私たちは、エアレイド不織布をベースにしたサステナブル素材の開発チームです。
エアレイド不織布の特性を活かし、環境負荷の少ない素材を目指して、日々改良と検証を重ねています。
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが世界的に推進される現在、
ファッション分野や製造業を中心に注目を集めているのがサステナブル素材です。
企業活動においてサステナブル素材を取り入れることは、環境への配慮だけでなく、
企業の社会的責任を果たすことにつながると考えられます。
この記事では、サステナブル素材の概要や特徴、種類、応用例について解説します。
▼この記事の構成
サステナブル素材とは
サステナブル素材の特徴
サステナブル素材の種類
- 天然素材
- バイオマス素材
- リサイクル素材
- アップサイクル素材
- アニマルフリー素材
- フェアトレード素材
環境に配慮した製品とその応用
まとめ
サステナブル素材とは
サステナブル素材とは、地球環境や社会課題に配慮した素材を指します。
原料の調達から製品の廃棄に至るまでの流れで、地球環境・社会への悪影響を抑え、
生産活動の持続可能性を支える素材が該当します。
2015年9月、国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。
それ以降、企業活動において「持続可能性」が重要なテーマとなり、サステナブル素材への関心が高まっています。
環境負荷の低減だけでなく、社会的価値の創出にもつながる素材として、注目を集めております。
サステナブル素材の特徴
サステナブル素材は、原料の選定から製造、廃棄までの工程で、環境への影響をできるだけ抑えるよう設計されています。
加えて、労働環境や資源の使い方など、社会的な側面にも配慮した素材として注目されています。
▼サステナブル素材の特徴
- 生産から廃棄までにおける温室効果ガスの排出が少ない
- 生産過程で有害物質が発生しない
- 自然環境のなかで分解・循環する
- 生産・加工の現場において適正な労働環境が整備されている
石油系素材の製造には、高温・高圧の化学反応を伴う工程が多く、エネルギー消費量が大きくなる傾向があります。
そのため、製造時に排出される二酸化炭素が、地球温暖化や環境負荷の一因とされることもあります。
これに対して、サステナブル素材では、植物由来の原料や再生資源を活用することで、製造工程における環境負荷の軽減が図られています。
さらに、資源の再利用によって廃棄物の発生を抑えることができ、用途に応じて石油系素材の代替として活用されるケースも増えています。
サステナブル素材の種類
サステナブル素材には、さまざまな種類があります。
自然由来のものから再利用されたものまで、素材の背景や製造方法によって分類されます。
それぞれの素材には、環境負荷の低減や社会的課題への対応といった特徴があります。
主なサステナブル素材の分類は以下の通りです。
- 天然素材
- バイオマス素材
- リサイクル素材
- アップサイクル素材
- アニマルフリー素材
- フェアトレード素材
天然素材
天然素材とは、植物や動物など自然由来の原料から得られる素材です。
自然環境のなかで分解・循環し、有害物質を発生させないため、環境への負荷が少ない点が特徴です。
持続可能な資源として、古くから衣料や生活用品に広く利用されてきました。
▼天然素材のイメージ

▼天然素材の例
- ウール
- カシミヤ
- レザー
バイオマス素材
バイオマス素材は、木材パルプやサトウキビなどの植物性原料を用いて製造される素材です。
原料となる植物は成長過程で二酸化炭素を吸収するため、
焼却時に二酸化炭素が排出されても、全体としてはカーボンニュートラル(※)が成立します。
この性質により、バイオマス素材は温室効果ガスの排出を抑える素材として注目されています。
再生可能な資源を活用することで、資源の枯渇を防ぎながら、環境に配慮した持続可能な生産ができるようになります。
▼バイオマス素材の例
- レーヨン
- リヨセル
- 木材パルプ
- バイオマスプラスチック
※カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることにより、全体としての排出量を実質的にゼロにすることです。

リサイクル素材
リサイクル素材は、従来廃棄されていた資源を再利用して作られた素材です。
製造工程で発生する端材や使用済み製品を再加工することで、資源の有効活用が可能になります。
廃棄物の削減と温室効果ガスの排出抑制に貢献する素材として、注目されています。
再利用によって新たな資源の採掘を減らすことができ、環境負荷の軽減につながります。
循環型社会の実現に向けた取り組みの一環として、さまざまな分野で活用が進んでいます。
▼リサイクル素材の例
- 再生ポリプロピレン
- 再生ペットボトル
- 再生コットン
アップサイクル素材
アップサイクル素材とは、廃棄されるはずだったものに新たな価値を加え、素材として再活用する取組みから生まれます。
リサイクルとの違いは、元の素材の形状や質感を活かす点にあります。
化学的な分解を伴わないケースが多いのが特徴です。
デザイン性や独自性を重視する分野での採用が増えており、持続可能なものづくりの選択肢として注目されています。
▼アップサイクルされる廃棄物の例
- タイヤチューブ
- 衣類
- コーヒー粕や茶葉などの食品製造副産物
アニマルフリー素材
アニマルフリー素材とは、動物性の原料を一切使用しない素材を指します。
製造工程においても動物への配慮がなされており、倫理的な観点から注目されています。
動物愛護の観点に加え、宗教的・文化的な理由から動物由来の素材を避ける人々にも対応できる点が特徴です。
技術の進化により、見た目や質感が動物由来素材に近づいており、ファッションやインテリアなど幅広い分野での活用が進んでいます。
▼アニマルフリー素材の例
- ヴィーガンレザー
- フェイクファー
フェアトレード素材
ェアトレード素材とは、発展途上国から適正な価格で購入された素材の総称です。
フェアトレードの仕組みにより、生産者の生活や労働環境の改善が図られます。
公正な取引を通じて、経済的な自立や地域社会の発展にも貢献します。
サステナブルな社会の実現には、環境面だけでなく社会的な公正も欠かせません。
こうした背景から、フェアトレード素材は公正な取引を通じて社会的責任を果たす選択肢として、企業や消費者の間で関心が高まっています。
▼フェアトレード素材の例
- フェアトレードコットン
- フェアトレードゴム
- フェアトレードウール
環境に配慮した製品とその応用
王子キノクロス株式会社では木材パルプを主原料としたエアレイド不織布の技術を応用し、
環境に配慮したサステナブル素材『ハイビオス』や『キナリト』を開発しました。
▼サステナブルな製品例

キナリトは、素材や粉末を配合することで機能性を高めることができ、
使用者のニーズに応じた製品の共同開発が可能です。
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コーヒー粕や茶葉など、製造工程で排出されるバイオマス廃棄物を原料にしたアップサイクルにも対応しています。
ハイビオスやキナリトに関連する資料は、こちらからご確認いただけます。

まとめ
この記事では、サステナブル素材について以下の内容を解説しました。
- サステナブル素材の概要
- サステナブル素材の特徴
- サステナブル素材の種類
- 環境に配慮した製品とその応用
サステナブル素材とは、地球環境や社会課題に配慮して設計された素材です。
温室効果ガスや有害物質の排出を抑え、自然環境で分解される性質を持つものが多く、
製造工程における労働環境への配慮も含めて、持続可能な社会の実現に貢献します。
王子キノクロス株式会社では、自然に還る木材パルプを主原料としたサステナブル素材として、
『ハイビオス』や『キナリト』を開発し、環境に配慮した製品づくりを推進しています。
コーヒー粕や茶葉などの製造工程廃棄物を活用したアップサイクルにも対応し、
多様なニーズに応える素材として注目されています。
製品の詳細については、以下の資料をご覧ください。