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ミニトマトの裂果と栽培・出荷時の水分環境

Date 2026.05.18

ミニトマトの裂果と栽培・出荷時の水分環境のサムネイル

私たちは青果物向けの鮮度保持シート『ぬれ鮮果』の開発チームです。

私たちは日頃、ミニトマトの生産や出荷に関わる方々から、さまざまな品質トラブルについてご相談をいただいています。
近年は、気温や湿度の変化が大きく、
「管理は変えていないのに、割れが増えた気がする」
「同じ圃場でも、日によって差が出る」
といった声を耳にする機会が増えてきました。

ミニトマトにとって裂果は、見た目や食感だけでなく、出荷量や評価にも影響する、悩ましい問題です。

この記事では、ミニトマトの裂果が目立つときの共通点を、水分の動きからみていき、出荷品質の安定に向けたヒントを共有します。

▼この記事の構成

1.裂果が目立つ日と、気にならない日

2.湿度が高い日、実が濡れやすくなるとき
 2-1.湿度が高い日が続くとき
 2-2.夜から朝にかけて、実が濡れやすいとき
 2-3.実が濡れたままになりやすいとき

3.収穫後の保管中に続く「水分環境」
 3-1.収穫後に果実を取り巻く環境の変化
 3-2.容器の中で起きやすい水分の動き

4.出荷品質を考えるうえでの視点

5.ぬれ鮮果という選択肢

6.まとめ


1.裂果が目立つ日と、気にならない日

ミニトマトの裂果について考えるとき、水や肥料、品種、気温など、さまざまな要素が関係すると言われます。

一方で、生産者さんの話を聞いていると、「この管理を続けていれば必ず防げる」「この条件さえ避ければ大丈夫」と
割り切れることは、あまり多くありません。
同じ圃場、同じ品種、同じ管理をしていても、日によって割れが目立つこともあれば、ほとんど気にならない日もあります。

管理を変えていないのに差が出る、という経験をされた方もいるのではないでしょうか。
裂果は、特定の一つの要因だけで説明するのが難しい現象です。
いくつかの条件が重なったときに、結果として割れとして表に出てくる。
そのように捉えたほうが、実感に近い場合も多いように感じます。

そこでこの記事では、「どんなときに割れが目立ちやすいのか」という観点から話を始めます。
まずは、水分に関わる動きに注目して見ていきます。


2.湿度が高い日、実が濡れやすくなるとき

裂果が増えたときの話をたどると、湿度が高い日が続いていることがあります。
まずは、この湿度の話から入ります。

2‑1.湿度が高い日が続くとき

湿度が高い日が続くと、ハウスの中では、空気中の水分が抜けにくくなります。
その結果、実の表面が乾きにくくなり、触るとしっとりした感じが残ることがあります。
特に、風が入りにくい日や、夜間に気温が下がりやすい時期には、実のまわりに湿り気が残りやすくなります。

見た目には大きな変化がなくても、実が一日を通して乾ききらないまま、次の日を迎えることもあります。
こうした日が続くと、実が乾くまでに時間がかかる状態が重なります。

湿度の高い日が続いたあとに、割れている実が目につくようになるのは、実が湿ったまま過ごす時間が長くなっていたためかもしれません。

2‑2.夜から朝にかけて、実が濡れやすいとき

夜から朝にかけては、気温が下がり、ハウスの中では空気の入れ替わりが起きにくくなります。
この時間帯は、実の表面に水分が残りやすく、触ると湿り気を感じることがあります。
明け方になると、葉や資材の表面に水滴が付くことがあります。
その水分が、実の表面に触れたままになっている場合もあります。
日中に比べると、この時間帯は乾くまでに時間がかかり、湿った状態が続きがちです。

朝になって気温が上がると、実の表面は次第に乾いていきます。
そのため、割れそのものは夜のうちに起きていたとしても、収穫や見回りのタイミングで、朝に気付くことが多くなります。

2‑3.実が濡れたままになりやすいとき

湿度が高い日が続き、夜から朝にかけて実が濡れやすい状態が重なると、実が乾ききらない時間が、少しずつ積み重なっていきます。
一日の中で見ると、日中には一度、表面が乾いたように見えることもあります。
しかし、そのあと夜を挟み、再び湿り気が残る状態になると、実が完全に乾いたと言える時間は、意外と長くありません。

こうした日が何日か続くと、一日ごとに見ていたときには、それほど気にならなかった状態が、時間として積み重なっていきます。
裂果が目立った時期を振り返ると、乾いたり湿ったりを繰り返していた時間が、結果的に、長くなっていたと分かることがあります。


3.収穫後の保管中に続く「水分環境」

こうした乾ききらない状態は、栽培中だけで終わるものではありません。
収穫後も、場所や形を変えながら、同じような状態が続いていきます。

3‑1 収穫後に果実を取り巻く環境の変化

収穫されたミニトマトは、ハウスや圃場を離れ、箱や袋、容器の中へと移っていきます。
その過程で、果実を取り巻く温度や湿度の条件は、栽培中とは大きく異なるものになります。

収穫後の環境では、周囲の空気が常に動いているとは限りません。
詰め方や果実の量によっては、空気の流れが生じにくく、水分がこもりやすい状態になることもあります。
とくに、外気との温度差がある場面では、箱の中の湿度が高まりやすくなります。

このように、収穫後は、果実の周囲にある水分を細かく調整することが難しくなります。
栽培中と同じ感覚で管理していても、その時点の環境の影響を受けた状態のまま続いてきます。

3‑2 容器の中で起きやすい水分の動き

収穫後、果実が容器に入ると、果実のまわりの空気は動きにくくなります。
この状態では、実の表面に水分が残りやすく、乾きにくい状況が続くことがあります。

容器の形状によっては、通気用の穴が設けられていても、内部の空気量が限られる場合があります。
そのため、実の周囲に湿り気が残りやすく、箱にまとめた状態よりも、湿度の影響を感じやすいことがあります。
また、果実同士が接している部分や、容器の底や側面に近い位置では、水分が逃げにくく、局所的に湿った状態が残りやすくなります。
見た目には大きな変化がなくても、一部で湿り気が続いていることがあります。

出荷形態によっては、ズレ止めを目的として、パレット単位で箱全体がストレッチフィルムで覆われる場合もあります。
こうした梱包では、輸送時の安定性が高まる一方で、周囲の空気が動きにくくなり、箱の中の湿度がこもりやすくなることがあります。

このように、収穫後は、容器の形状や出荷形態によって、水分の動き方が変わります。
同じ果実でも、条件が重なると、濡れた状態が残りやすくなります。


4.出荷品質を考えるうえでの視点

ここまで、ミニトマトを取り巻く水分環境を、栽培中から収穫後・保管中まで見てきました。

出荷時に問題になりやすいのは、糖度や果肉の硬さといった果実そのものの性質だけではありません。
湿度や水分の状態が特定の条件で続いた結果として、変色や裂果、カビの発生など、環境由来の問題が表に出ることがあります。

こうした変化は、収穫直後ではなく、並べ替えや梱包、出荷準備の途中で初めて気づかれることも少なくありません。
その時点では、周囲の環境を細かく調整することが難しく、すでに起きている状態を受け止めるしかないこともあります。

これまで見てきたように、果実のまわりにある水分は、湿度や温度差、空気の動きによって、状態は変わります。
出荷後は、このような条件が複合的に生じやすく、水分に関する問題が表面化しやすくなります。
どのような環境で、どのような状態が、どのくらいの時間続いていたかを見ることが、品質管理の上でポイントになります。

また、水分環境の影響は収穫後も続き、出荷の段階で品質の問題として現れてきます。
その時にはもう、状態を変えることはできません。


第5章 ぬれ鮮果という選択肢

収穫後から出荷までの間には、表面に水分が残ったり、割れた果実から果汁が付着したりすることがあります。
カビや変色、裂果につながるため、表面の水分や果汁に対応する資材が使われることがあります。

当社の「ぬれ鮮果」も、その用途で使用されるシートです。
ぬれ鮮果は、パルプを主原料とした多孔質シートで、表面に付着した結露や果汁を吸収します。
表面の結露や果汁が残ったままになりにくくなります。

さらに、焼成ホタテ貝殻由来の抗菌成分を配合しており、水分に触れることで抗菌性を発揮し、カビの発生も抑制します。
シート内部にある空隙とパルプの毛細管作用により、付着した水分はシート側へ引き込まれ、内部に広がっていきます。
また、焼成ホタテ貝殻由来の炭酸カルシウムは水分に触れることでアルカリ性を示し、微生物の増殖を抑える働きをします。

シートを敷くだけで使用できるため、特別な作業は必要ありません。
収穫時のコンテナや出荷時の箱の中に入れ、シートに触れるように果実を配置するだけで使えます。

主原料は天然由来のパルプで、使用後は可燃物として処理することができます。
取り扱いが容易で、既存の作業フローを大きく変えることなく導入できます。

実際には、出荷用の段ボール箱の底面にシートを敷き、その上にミニトマトを並べる形で使用されるケースが多く見られます。
輸送中に発生する結露や、裂果による果汁がシートに吸収されることで、箱内で水分が残ったままになりにくくなります。
最近では、段ボール箱とぬれ鮮果を組み合わせた出荷形態での採用も増えています。
特に、輸送時間が長くなるケースや、品質への要求が高い用途において、このような形での使用が広がっています。

ぬれ鮮果の詳細については、以下のページで紹介しています。

ぬれ鮮果特設サイトはこちら


6.まとめ

ミニトマトの裂果は、特定の一つの条件で起きるものではなく、
栽培中から収穫後、出荷に至るまでの過程の中で、水分が残った状態が続くことで表れてきます。

収穫後には、表面に水分が残ったり、裂果によって果汁が付着したりする場面があり、
その状態のまま進むことで、変色やカビの発生といった品質問題にもつながります。

出荷の段階では、その状態を後から変えることはできません。
そのため、どの段階でどのような状態になりやすいのかを踏まえ、あらかじめ影響が出にくい状態をつくることが重要になります。

水分の影響はミニトマトに限らず、他の青果物でも品質に影響します。
アスパラガスの事例については、こちらの記事でも紹介しています。

「アスパラガスを日持ちさせるには。輸送時の鮮度を保つ秘訣は温度と水分にあり」

本記事では、水分が残った状態が続く中で起きる現象をもとに、
収穫後から出荷にかけての品質問題と、対応について取り上げました。

ミニトマトを取り巻く湿度や温度、結露の出やすさといった条件は一様ではありませんが、
起きている状態を一つずつ見ていくことで、品質問題の根本が見えてきます。

ミニトマトの裂果そのものの要因については、以下の記事でも紹介しています。

「ミニトマトが割れる“裂果”の原因とは。栽培中だけでなく輸送時の対策も重要」

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