Products製品ライブラリー
過去に開発した
独創性豊かな製品をご紹介

  • 葉たばこ乾燥シート

    2019/05/29PRODUCTS


     全世界の葉たばこの生産量は、2002年時点で635万トン(参考:FAO(国際連合食糧農業機関))であり、全体の3割以上を中国で生産しています。日本では同じく2002年時点では58,174トンですが、2014年には19,980トン(参考:たばこ耕作組合中央会)と減少しています。主な生産都道府県は宮崎県、熊本県、岩手県、鹿児島県、青森県です。
     ところで、愛煙家の皆様、煙草がどうやってできるかご存知ですか?

     煙草の原料となる葉たばこは、種を育床で育ててある程度成長した段階で畑に移植されます。そしてどんどん成長していき草丈は約120cm以上と大きくなり、葉の大きさは、大きいもので長さが約70cm、幅が約30cm程にまでなります。成熟した葉を収穫し、乾燥工程を経て、選別、圧縮をし出荷されます。そして、出荷された葉たばこは、原料工程、製品工程を経て製品として皆様ご存知の煙草になります。
     このような農産物関連の商品開発をする際に悩ましいのは、収穫時期が限られているために試作品を試せる期間がどうしても限られてしまうという点です。タイミングを逃すと来年になってしまいます。開発にスピードが求められる商品でした。昭和から平成の初めに当社TDSプロセスで生産していた「葉タバコ乾燥シート」についてご紹介します。

    煙草の味と香りの決め手は葉タバコの乾燥工程


     葉たばこ栽培における乾燥は、煙草の味と香りを決める非常に重要な工程で、葉たばこの種類や特徴によって適した乾燥方法が異なります。黄色種はコンテナ状のバルク乾燥機の中で、加熱した風を循環させて乾燥、熟成させます。バレー種は遮光したビニールハウスや屋内に吊って、自然乾燥する乾燥方法が一般的です。乾燥の仕方で味が大きく変わると言われています(煙に味があるというのは煙草を嗜まない私にとってはいささか不思議な感じです)。乾燥工程では、適切な温湿度条件下で酵素の働きを高めることにより、葉中に蓄積されたタンパク質やでんぷんなどがアミノ酸や糖に分解され、葉たばこ特有の香りや味が作り出されるそうです。
     吸放出性のあるシートを用いた「葉タバコ乾燥シート」の関連製品は3つありました。1つ目は「新葉たばこ貯蔵袋」です。袋の中の湿度の変化に素早く対応する優れた吸放出性は最大2.6リットル/袋もあり、葉タバコの含水分量を安定化させる効果がありました。2つ目はハウスの「外張り被覆材」です。遮光性もあり、1枚でハウス用被覆資材として構成できました。遮光効果とハウス内湿度の大きな変化を和らげる効果が兼ね備える1枚で2役のシートした3つ目は「内張りシート」です。一般的な不織布遮光シートとほぼ同等の透湿性、遮光性に優れ、湿度の変化を和らげるために吸湿、放湿性をかねそなえたシートでした。

     
     表裏面材には強度や耐候性に優れた不織布やフィルムを用いています。中層には合成繊維に特殊な高吸水性樹脂を配合しました。ビニールハウスサイズにするために、シートを幅広化し、立体成形するためにシール加工をしていました。

    トラブル発生!

     実使用での効果確認テストの前に問題が発生してしまいました。最初に検討していたヒートシールでは接着強度が弱く、広げてシートを引っ張った時にヒートシールが外れる箇所が発生してしまったのです。収穫時期は待ってはくれません。試験スケジュールがタイトだったため、まずは効果の確認が最優先と、回収してきたシートを会社の体育館に広げ、みんなで糸と針を持って縫って急場をしのぎました。普段、お裁縫などしたこともない研究員たちが、指に針を刺しながら仕上げたのも思い出です。 その後、葉タバコ乾燥シートは需要が減り、静かにライブラリー入りとなりました。

    TDS不織布の”葉タバコ乾燥シート”としての特長

    ・オンラインで多層化シートが生産可能
    ・水を嫌う高吸水性樹脂(SAP)を配合したシートが生産可能
    ・後加工で様々な付加価値