Products製品ライブラリー
過去に開発した
独創性豊かな製品をご紹介

  • 育苗マット

    2019/05/27PRODUCTS


    都会生まれの方はあまりお馴染みではないかもしれませんが、お米を作る時には種をいきなり田んぼに蒔くことはほとんどありません。昔は田んぼの中に苗代を作り種をまいて育てていましたが、今は育苗箱という容器の中に土を入れて、その中に種を撒き、栄養を与えながらビニールハウスなどで育てるのが主流です。種が発芽し、一定の大きさに成長すると苗と呼ばれるようになります。10cm程度に成長した苗を田植え機などで田んぼに植えます。昭和から平成の初めに生産していた「育苗マット」についてご紹介します。


    「育苗マット」という製品は、TDSプロセスの特長である厚手のパルプウェブを土壌の代わりにして、一緒に種子や肥料を抄きこんだ製品でした。容器に土を入れて種を蒔き、栄養を与えるという工程を不織布を作る機械の中でしてまう製品でした。そして水分とお日様に当たりながら、ビニールハウスの中で育てます。そして苗の成長を待って、育苗マットを田植え機にセットし、自動的に分割しながらそのまま植えていったのです。その後は普通の米作りと同じようにして、秋には実った稲穂を刈り取りお米になっていました。

    アスファルトの上で田植え!?

    実験室の一部には温室があり、育苗マットの発芽率など一般的な土壌と比べて遜色があるか、実際に苗を育てていました。また、育苗マットをより使いやすいものにしようと考えていた当時の開発担当者は、試作したシートの作業性はどうか実施に試そうとしました。しかし、残念ながら私どもの会社には田んぼがありませんでした。そこで、アスファルトで田植えをしてみることにしました。実際に田植え機を操ると、水も土もないアスファルトの上には等間隔に置かれた苗の列がありました。担当者は苗の状態を時にはアスファルトに這いつくばりながら観察し、問題がないか見逃さないように観察していました。

    そんな滑稽な様子が伺えたのは製紙工場の片隅にある「不織布研究室」の看板の前でした。製紙会社の中で、紙ではない不織布という耳慣れない言葉を生業としているその研究室は、他部署の交流も少なく、元々パルプの原料となるチップの溶解窯だった高い建屋を改造した職場の外観ともに異彩を放っていました。アスファルトの上で田植えをする様子を目撃した他部署の従業員たちにとってはさらに不思議なものとなっていたようです。何年後にこの不織布研究室が移転したいのですが、引越し当日には多くの見学者が訪ねてきました。諸々の理由から引越し先の新しい研究所にはこの田植え機は連れて行かれることもなく、この育苗マットの生産もここで終わりました。

    TDS不織布の”育苗マット”としての特長

    ・パルプを主原料としているので環境にやさしい素材
    ・オンラインで種や肥料をシート化
    ・低密度でシートの切れもよく作業効率良い